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概要

1973年10月に発売された、チューリップの4枚目のシングル。
作詞/松本隆  作曲/財津和夫
(はっぴいえんど解散後間もない頃の松本隆の作品)

特徴

財津和夫の方向性のためだと思うが、メロディーも演奏もビートルズを連想させる曲に
なっていて、特にサビの部分はビート感が強いです。
逆にAメロはメロディアスで美しく、大ヒット曲「心の旅」と同じような曲調になっています。

松本隆の詞

この曲は松本隆の詞が秀逸で、それがこの歌を特上のポップスにしています。
僕が特に好きなのは1番、2番の歌いだしとサビです。
  1番:君の眼を見ていると 海を思い出すんだ
  2番:君の眼の向こうに 青い海が見えるよ
  サビ:君をさらってゆく風になりたいな 君をさらってゆく風になりたいよ

小説「微熱少年」の投影

松本隆が1985年に書いた『微熱少年』という小説があります。(2016年に立東舎文庫から
文庫本が出版されました)
僕はこの歌の「君」と『微熱少年』のヒロイン「エリー」が同一人物ではないかと、35年間
思ってきました。
小説の中では、特にエリーの眼が海を思い出させるとは書いてなかったと思いますが、彼女の容姿や
仕草はキレイなのに主人公に語り掛ける言葉はどこか憂いがあって、そこがこの歌の「君」を
想像させるのです。

小説『微熱少年』と松本隆

この小説は松本隆の自伝的小説と言われています。
そして、この小説に出てくるいくつかのモチーフは松本隆の歌詞となり、改めて世の中に
出ています。
たとえば、第1章は吉田拓郎の「サマータイムブルースが聴こえる」になりましたが、少し内容を
変えて別の曲にもなっていると思います。
第2章では「A LONG VACATION」の「恋するカレン」の場面が書かれ、そして第3章では
「雨のウエンズデー」と同じシチュエーションが登場します。
ちなみに、歌の中で車は「ワーゲン」になっていますが、小説では「スバル360」。(形はワーゲンに似ているけど大きさは二回りくらい小さい)
その最後の場面での会話を以下に紹介します。
松本隆が自分の青春の中から思い出深い瞬間を、いつか歌詞にするのだと決意したように読めます。

「いつかは自分で作ってみたい。詩なら書けそうな気がする」
「よく本を読んでるものね。きっと書けるわよ」
「そう言ってくれるのは君だけだよ」
「あなたの書いた詩、歌になったら聞きたいわ」
「ほんと?」
「私のこと書いて」
「君のこと?」
「そう今日のこと」
「うん、いつかね。書ける日が来たら」
「きっとよ」
 菫色の雨の降る水曜日だった。

この約束は15年後の「A LONG VACATION」で果たされました。
もしエリーが実在の人物だとしたら、「雨のウエンズデー」をどんな気持ちで聞いたのでしょうか?
(敬称は略しました)

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