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河出書房新社から出ている「おいしい文藝」シリーズの最新刊 です。   今まで「ずるずる、ラーメン」「ぐつぐつ、お鍋」「こぽこぽ、珈琲」など12冊出ていて、僕は全て買っています。。
「食」に関するエッセイ集で、今回は36人の話が読めました。それぞれ違う文体で読めるのが魅力です。
そして、小説家だけでなく、画家、音楽家、物理学者など普段読めない人達のものもあって、それが予想以上に読ませるのが楽しいです。

最初から最後まで充分に堪能しましたが、特に今回は池波正太郎「ポテトフライ」川本三郎「湯豆腐」内田百閒「おから」獅子文六「どじょう」が印象深かったです。
池波正太郎と獅子文六は面白くてスイスイ読ませるところがやっぱりさすがで、川本三郎は最後に少し寂しくさせて、深い余韻を残す話でした。
今回の中で一番味わい深かったのは内田百閒でした。おからを肴に高級なシャンパンを飲むという普通では考えられない事を書いています。名散文家と言われただけあって落語を聞いているようで何回も笑ってしましました。

概略を書くと、本来おからは豚の餌であると前置きしておいて、話が始まります。
「始めに、おからをこぼして食べると長者になれないという迷信を言う。次に、安いおからに高いレモンの汁をかけて食べているという矛盾を説明する。そして、外国のシャンパンは美味いが値段が高いので国産のシャンパンを飲むことになるが、それでも値段は安くないとつぶやく。最後に、おからをこぼさないで食べても、シャンパンを飲んでるようではやっぱり長者にはなれない」と自分をさげすむ落ちを付けて終わります。

読んでいると、おからを肴にシャンパンを飲んでいる様子が頭に浮かび上がってきました。以前に内田百閒の文庫本に出ていた、ちょっと偏屈そうな顔写真を思い出してしまい、笑いがこみ上げてきました。
さり気ない文章ですが、言葉といい、話の展開といい天才的な文章だと思いました。
1889年生まれで、夏目漱石の弟子でした。
何の用事もないのに、一人の若者を連れて、日本中を列車で旅をする「阿房列車」シリーズは昭和の名作だと思います。

「ちょこっと、つまみ」(amazon)

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投稿者

あまざけ

還暦過ぎのおじさんです。銀婚式は過ぎました。

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