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概要

この曲のことを知らない人は多いと思います。1977年に発売された、という二人組のグループの4枚目のアルバム「海風」に収録されています。
作詞/大久保一久 作曲/大久保一久

「風」というグループ

「風」は元「かぐや姫」の伊勢正三「猫」の大久保一久1975年に結成したフォークデュオです。
結成時に出したシングル「22才の別れ」が大ヒットして人気グループになりました。
解散するまでの間に、5枚のオリジナルアルバムを出しましたが、曲風は次々に変わっていきました。
1979年にグループの活動は休止しましたが、二人によるコンサートはその後に数回行われているようです。
伊勢正三が「かぐや姫」時代に作った「なごり雪」を「22才の別れ」と同じ頃にイルカが唄って、これも大ヒットしました。そのため、「風」は伊勢正三中心のグループとして存在していて、ファンの大多数は伊勢正三の作るしっとりとした、淋しい歌が好きだったと思います。それらの曲名をあげると、「海岸通り」「あの歌はもう唄わないのですか」「北国列車」「ささやかなこの人生」、それから「なごり雪」の前夜の会話を歌にしたと思われる「君と歩いた青春」などが人気があったと思います。これらは、歌詞の世界が恋愛における青春の1ページが書かれていて、どの歌詞にもリアリティがあるところが受けたのではないかと思います。

今も心に残る歌詞を抜き書きしてみたいと思います。
「海岸通り」  夜明けの海がかなしいことを あなたから教えられた海岸通り・・・
        あなたがいつかこの町離れてしまうことを やさしい腕の中で聞きたくはなかった
「あの歌はもう唄わないのですか」  
        雨が降る日は近くの駅まで 一つの傘の中帰り道 そして二人で口ずさんだ
        あの歌はもう唄わないのですか 私にとっては思い出なのに
「北国列車」  君の生まれたあの星がこんなにきれいに輝いて 
        君と暮らした東京では 見たことなかったけれど
「君と歩いた青春」
        君と歩いた青春が幕を閉じた 君はなぜ男に生まれてこなかったのか

なかなか味わい深い歌詞だと思いませんか。

アルバム「海風」

4枚目となった「海風」はかなり変わったアルバムでした。
アルバムの1枚目、2枚目ぐらいまでは、叙情派フォークぽかったけど、3枚目くらいからロックや
ポップスを意識した作品が増えていき、ライブではエレキギターも弾くようになっていました。
そして、4枚目の「海風」はもう叙情派フォークではなくなっていました。しかし、かと言ってロックやポップスでもない、かなり個性的な歌が集まっています。
詳細は省きたいと思いますが、1曲目のアルバムタイトル曲「海風」のイントロは、アコースティックギター1本による激しい単音メロディーから始まるものです。
2曲目「冬京」は冬の東京と恋人と別れた哀しみを掛け表した言葉がタイトルなのに、演奏は
幻想的なものになっています。
こんな調子でアルバム全体がつかみどころがないところに、突如7曲目に今回の「トパーズ色の街」
という正真正銘のシティポップスが入っています。

   

「トパーズ色の街」

「夏の海で東京のOLと言葉を交わした楽しい思い出も、秋の気配の東京に帰えってくると、かえって寂しく思える。彼女はこのオフィス街のどこかで今頃、タイプライターを打っているだろう。」という内容の歌で、歌詞の中に生活感がないところがとても良いです。
アレンジャーは瀬尾一三で、イントロとエンディングがエレキギターのカッティング奏法
ポップス感を前面に打ち出しています。
メロディーは大久保一久に突然変異が起きたかのように、調子良くて日本語の窮屈感も全く無いです。
おそらく、彼の作品の中で最高のメロディーではないかと思います。
伊勢正三の影に隠れているうちに、何かが発酵していったんだろうと思ってしまう程、
奇跡的な歌が出来てしまったという感じです。
ただ一つ残念なのは、歌唱力がもう一歩だったことです。しょうがないです、1970年代だから。
(敬称は略しました)

風・アルバム「海風」(Amzzon)

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