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原武史著(講談社現代新書)

前回紹介した「鉄道ひとつばなし」続編です。
この本は講談社のPR誌「本」に記載されたエッセイを新書にまとめたもので、1冊目と同じような感じで書かれいます。
今回も話が多岐にわたっていて面白かったです。

「序文」で原さんが鉄道に対して、どの様な興味を持って接しているのかを告白しています。
それは以下のように書かれています。。
「私が興味をを持つのは鉄道そのものではなく、鉄道を通して見えてくる日本の近代や、民間人の思想や、都市なり郊外なりの形成や、東京と地方の格差などのほうである。車両そのものではなく、その車両に乗り合わせた人々や、車窓に流れる風景のほうである。」
これは僕がいつも車窓見ている時の視点と重なるのでうれしくなりました。
僕はその他にも、今見えている地域の歴史や地理的特徴も思い出しながら車窓をじっと見ることを趣味にしています。これは「時刻表2万キロ」の著者として名高い宮脇俊三さんの影響が多分にあると思います。(僕の歴史や地理の知識は大したことはないので、思いをめぐらす内容もささやかですが、それでもそうしていると飽きずに車窓を見続けることができます)

国鉄時代の駅の持っていた魅力的な表情について、次のように書いています。
「すすけたようなホームの屋根は高く、柱はしっかりしていた。(中略)駅名の連呼と、乗り換えを案内するアナウンスが構内に響く。駅員の声には独特の抑揚があり、一瞬のよどみもなかった。」 
原さんも書いてますが、このような駅はまだ所々に残っている気がします。
都市部からはなれているけど乗り換え駅になっていたり、かつては乗降客が多かったけど今はずいぶん減ってしまったような地方駅で、ローカル線ではなく○○本線というような駅を僕は思い浮かべてしまいます。木造の屋根、長いホーム、跨線橋、小さな売店、年季の入った駅そば店の景色は鉄道旅情緒を全身に浴びる事になるので僕も大好きです。
次はどこでこの様な駅に出会えるか、楽しみにしたいと思います

そんな話の続きとして「独断・日本の駅百選」はとても勉強になりました。
「海の見える駅」「川沿いの駅」「湖畔の駅」「山麓や峠にある駅」「駅舎やホームにひかれる駅」「駅前の景観にひかれる駅」に分類して100駅が紹介されています。
解説を読むと行ってみたくなる駅ばかりで、電車に乗る趣味は一生楽しめると改めて思いました。
(僕はコピーをとって、旅行カバンに入れておきました)

原さんは駅そばも好きなので、「山手線」各駅の駅そばについてきびしい考察を書いています。
結論を書いてしまうと山手線各駅の駅そばは「日本レストラン」「JR東日本フードビジネス」などのチエーン店ばかりになってしまって面白くないということです。
ちなみにチエーン店でないのは品川駅の「常盤軒」だけのようです。

この本で一番ビックリしたのは、イギリスのロンドンから10分電車に乗ると、シラカバやポプラの林、馬や牛が遊ぶ牧草地が広がるという夢のような話でした。原さんは「いきなり北海道の道東か道北に迷い込んだ錯覚に陥る」と書いてます。いつかロンドンに乗りに行きたいと思いました。

今回もとても楽しくて読めて、「読書による鉄道旅はやっぱり面白い」と再確認しました。

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