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原武史著(講談社現代新書)

日本政治思想史が専門の大学教授である原武史さんが、趣味としてたいへんに詳しい鉄道について書いた本です。
初版が2003年なので現在ではだいぶ変わってしまっているとは思いますが、それでも鉄道に対する新しい視点を発見することができました。


本の前半部分は鉄道のさまざまな歴史や、いろいろな歴史上の人物の鉄道におけるエピソードなどが書かれています。
後半は自身の乗車経験をふまえて多種多様な話が語られています。

第5章の「私の鉄道体験記」で紹介されたローカル線の話は特に面白かったです。
その中でも、島根県の「一畑電気鉄道」の車窓、同県の「JR木次線」に三段式スイッチバックがあること、「南海高野線」の急勾配と急カーブとその先のケーブルカーへの接続の話はとても楽しく読めたと同時に「これは乗りに行かなかればしょうがない」と思いました。

第6章の中で紹介された夜行急行電車の「ちくま」「きたぐに」は今は当然走っていない電車ですが、それを使うと事件のアリバイを作ることができるという鉄道推理小説に登場しそうな話でした。
僕が鉄道に乗ることが好きになった時にはもう夜行急行電車は全く無くなっていたので、1990年代から趣味として鉄道に乗っていたら、ずいぶんと多様な旅が出来たのではないかと少し後悔しました。
そして、時刻表をじっくり読み込む人はすごいと思いました。

第7章「風俗と風景」では「海の見える車窓十選」「北海道の車窓十選」が原さんの視点から選ばれています。そして行っていない所は、やっぱり自分でも見てみたいと思いました。

第8章「鉄道比較文化論」の中では「路面電車」が西日本に多いことを考察しています。
僕は路面電車が走っている街が大好きなので、路面電車に乗れる全部の街を訪れることを今後の旅の小さな目標にしたいと改めて思いました。

僕のように「車窓に情緒や地域差を探すのが好き」という立場から読むと、新しく知ったことや新しい面白味を発見した本でした。

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