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芦原伸編(ちくま文庫)

特徴をもった20人の人達が書いたエッセイを集めた本です。
コロナウイルス感染症が拡大していている現在では大好きな「青春18きっぷの旅」に行くこともままならないので、このような本を読んで旅の気分を味わいたいと思って読みましたが、とても面白くてその目的はかなえられました。

まず、川本三郎さんの「中央本線各駅停車に乗る楽しみ」が面白かったです。
この中では主に山梨県内の中央本線のことが書かれていますが、「勝沼ぶどう郷駅」「塩山駅」の間の景色を日本三大車窓に入れたいほどだという考えでした。これは、僕も同感なのであそこの美しい車窓を思い出しました。
川本さんが詳しい映画や小説に登場した場所も紹介されていて、その話も興味深く読むことができました。

また、内田百閒先生の「雪解横手阿房列車」もやっぱり面白かったです。かなり昔に読んだことがありましたが、新鮮な気持ちで読むことができました。百閒先生の頑固で気難しい人柄が旅のなかでよく出ていてそれも微笑ましいのですが、何と言っても美しい車窓風景を紹介する時の文章は並みの小説家ではなかなか書けない程の名文だと思います。その感性のレベルに、歴史的紀行作家の松尾芭蕉を思い出してしまいました。きれいな日本語を読みたい人にお勧めです。

それから紀行作家である岡田喜秋さんの「駅の花・駅の顔」は駅のホームに植えられている花や、駅舎の話です。
秋のローカル線の駅のホームには、やっぱりコスモスの花が良いという意見はよくわかる気がしました。
駅舎についてもとても詳しいのですが、岡田さんが詩情をもって駅やホームの風景を見ていることが文章から伝わって来て、とてもさわやかな気分で読むことができました。

やっぱり鉄道旅行の本は理屈抜きにワクワクして読めます。(でも、各駅停車に乗って体を揺らしながら読んだらもっと味わえたかもしれないと思いました。)

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