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大瀧詠一の大ベストセラー・アルバム「A LONG VACATION」のレコード、CDジャッケトを
覚えている人は多数いると思います。
夏のプールとプールサイドの白い椅子とテーブル、その向こうの海が描かれているイラストでした。
描いたのは、イラストレーターの永井 博です。
2020年5月に彼の作品集「Time goes by…」の第4版が出た事をを知ったので買いました。
そして、期待どおり1ページめが「A LONG VACATION」に使われた作品でした。
それを見た瞬間、1981年に初めてこのアルバム(LPレコード)に針を落とした時のショックを
一気に思い出してしまいました。

リゾートホテルのプール、太陽の光、水の青さ,それらが1枚の絵の中で輝いています。
それまで、こんなレコードジャケットは見たことがありませんでした。
それは、1曲目の「君は天然色」、3曲目の「カナリア諸島にて」の世界そのものでした。

永井博 作品集 「Time goes by ..」(amazon)

当時の様子

当時レコード店に行くと、このイラストがポスターになって店の目立つ所に貼られていたと思います。
発売された年の初夏から秋にかけてFMラジオではよく流れていたし、街中を歩いていても
耳にする事が多かった記憶があります。
大学生だった僕が、夏休みに男女の友達と行った海岸の海の家でも激しく流していました。

ここまで書いてきて急にいろいろ思い出しました。
田中康夫の「なんとなくクリスタル」が若者たちの間で大ブームになっていて、みんなブランドの
ポロシャツを着ていました。
東京では、土曜日の午後や日曜日は原宿の表参道から青山通り渋谷の公園通りなどを大した
意味もなく歩く人で溢れていました。
もっと流行やオシャレに敏感な人は、広尾とか代官山などに行っていたと思います。(このような人達のことをクリスタル族と呼んだりしてました。)
土曜日の夜は六本木のスクエアビルの各階にあったディスコが賑わって、どの店もサーファー風の曲を流していました。女の子達はストレートな長い髪でした。時々、その髪が本当にきれいな子がいましたが、なぜかそこに洗練されたものを感じていました。
それから忘れてはいけないのは「横浜トラディショナル」(ハマトラ)が大ブームになったこと。
女の子は、ブランドのポロシャツやトレーナーに巻きスカートやミニスカート…。
なんだかみんな急に可愛い人になっていきました。

その時みんなデッキシューズという靴底が1㎝もない、皮でできたぺっちゃんこの靴を
履いていました。
冬になるとスキーに行く人もこの頃から多くなってました。

思い返せば、1980年が明けた時から世の中は急変した事を、僕はよく覚えています。
1978年くらいまでは時代の空気はまだまだ70年代という枠組みで、若者達の服装もブルー
ジーンズにTシャツ、トレーナーが普通でした。
そこへ急にブランドという概念が入ってきて、原宿に店のロゴマークを前面に出した店がたくさん
でき、雑誌のポパイホットドッグプレスで盛んに紹介していました。
それらの店のポロシャツやTシャツを着て歩く人がもたくさんいました。

そんな時代背景に「A LONG VACATION」のサウンドと松本 隆の詞はピッタリ合って大ヒット
したと思います。
リゾートは憧れでは無くなっていて、夏の軽井沢にも若者たちが大勢押しかけていました。
みんな一途な恋愛よりもスマートな恋愛に向かって行き、それが普通になっていったと思います。
それが松本隆の詞と重なっていました。

松本 隆の言葉

この永井 博の作品集に「A LONG VACATION」の主な作詞家である松本 隆の言葉が
本の帯になって書かれていますが、ここで書かれているは結局のところ、1981年からずっと街や僕らの心の中にに吹いていると思います。
           「30年ほどの時間が流れ去ったが、
       この見覚えのあるプールに立てば、時は止まったままだ。
            海から吹く風もあの日のままだ。」
                 松本 隆

あの年の夏の海で、「A LONG VACATION」で歌われたような屈託のない笑顔を僕に見せた人は、今はどうしているのでしょうか。
(敬称は略しました)

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