image_pdfimage_print

木綿のハンカチーフ

太田裕美の4枚目のシングルであり、最大のヒット曲です。
この曲はシングル盤とアルバムで、歌詞の一部が違うことがよく知られています。
それは2番の頭の部分です。
シングル「恋人よ今も素顔で」アルバム「恋人よ君は素顔で」今も君もという違いです。
アレンジもシングルとアルバムでは若干変えています。
最初にアルバム用として「木綿のハンカチーフ」を作った後、これは面白い曲が出来たと気が付いたディレクターが、改めてシングル盤用を録音する事を考えたと何かのテレビで見た記憶があります。

この曲は、若い男性側からの言葉と女性側からの言葉が交互に出てくるという、画期的な作詞法で作られていますが、それがヒットした大きな理由だと思います。
そのアイディアを思い付いた松本隆は、やっぱり普通の作詞家ではないと思います。

袋小路

松本隆的な言葉
・あなたはレモンひと口噛んで 「君といるのが辛い」と言った
・レモンスカッシュの冷たい汗に 過ぎた昔が流れて映る 遊びさわいではじけた日々が ああ哀し
 みに透き徹ってゆく

この歌の作曲は荒井由実です。そして、サビの部分のメロディー秀逸で、さすがユーミンという感じです。このメロディーを聞くためだけに、このアルバムを買う人もいたかもしれないです。

肝心の歌詞の内容は僕の国語力では、よくわかりません。

内容をまとめてみると、石畳の道を通って懐かしい喫茶店に二人で来たら、彼がレモンをひと口噛んで「君といるのが辛い」と言った。
遊び騒いで楽しかった日々も今となっては哀しく思える。
もし、どちらかに優しさや暖かさがあったら、二人の関係は行き詰らなかった。
という話です。

どんなことがあって、二人が上手くいかなくなったのかわかりません。
ただ、一時期は一緒に遊び騒いだ楽しい季節もあったのです。
「君といるのが辛い」と彼が言っているので、この喫茶店で二人は別れることになると思います。
松本隆が書きたかったのは、心の行き違いで別れてしまう恋人たちの哀しい出来事も、時間という不思議な力に押されただけだということかもしれないです。
荒井由実によるバラードのメロディーは、別れのやるせなさを伝える名曲だと思います。

夕焼け

太田裕美の3枚目のシングル曲です。
メロディーも編曲も70年代らしい感じで作られています。

松本隆的な言葉
・あなたに逢えた まぶしい夏が 目に浮かぶ夕焼け 陽に灼けた やさしい顔
・真夏が過ぎた海辺の駅で 別れたのあなたと 結んでた指も離れて 汽車は秋へと走り出したの
・街角でよく似た人 逢えば心さわぐの
・素肌の夏さえうすれても この胸にきえないのよ

夏の海で出会った二人が、夏の終わりを合図にお互いの普段の場所に帰った。街に戻った彼女は秋を迎えても彼のことを忘れずにいるという話です。
海辺の町で二人とも何拍かしたと思います。彼女の方は女友達と一緒にホテルに泊まっていて、彼の方も友達と民宿やテントで泊まっていたかもしれません。昼間の海岸で彼が声をかけて始まった恋だと予測できます。二人とも18歳か19歳くらいで、その様な出会いは初めてだったと思います。
二人だけで泳いだり、砂浜や岩場に座って海を見ながら話をしたりしたことでしょう。
彼女の友達も彼の友達も二人のことを少し遠くから見守っていただけだと思います。
本来の生活圏が違う二人に遠距離恋愛という選択肢を思い付くはずもなく、家に帰る時が別れの時になったのです。そして彼女の方は秋の街を歩いていても、彼のことを思い出してしまうのです。

ひと夏の海辺の恋の典型的な形ですが、彼女の方はひと夏の恋と割り切れずに、秋になっても彼のことを思い出してしまうところが、彼女の真面目さや純情さが見えてそれがせつなくて美しいです。
そして、この歌詞の内容を表現出来る歌手は太田裕美以外いなかったと今さらながら思ってしまいます。

男の身勝手と承知してあえて言うと、この彼女のような人と恋愛して結婚したら幸せだろうなと今思いました。

この話の続編と思える歌が、太田裕美の次アルバムに入っている「オレンジの口紅」や竹内まりやの「象牙海岸」だと個人的に思っています。そして、僕はこの2曲が大好きです。

土曜日の約束

筒美京平の作ったメロディーがとてもいい曲です。

松本隆的な言葉
・来ないと知ってても私は待つの ああ うつむいて愛つげられた日々が 涙の中に揺れるの
・やさしい嘘なのね 忘れはしない ああ その胸に甘えた夏の午後が 涙の中に揺れるの

夏の間はまだ付き合っていた彼と、秋になって別れた主人公の彼女の話です。
もう彼は来ないとわかっているのに、映画館の入り口で彼女は彼を待っているのです。
自分の周りにいる人達は、これから始まるロードショーにワクワクして華やいでいるのに、自分だけが一人で立っています。

うつむいて愛を告げてくれたことや、夏の午後に彼の胸に顔をうずめた思い出も、今は哀しい思い出になってしまったのです。

歌の歌詞をいちいち現実的にありそうかどうか考えるのは、あまり良くないとは思いますが、僕は男なのでこの話にリアリティを感じます。
しかし、女性視点から見たらどうなのだろうかという疑問もチラつきます。なぜなら、女性は気持ちの切り替えが男性よりはるかに早くて、終わった恋に執着しない人が多いと思うからです。この辺りは個人差の問題かもしれませんが。

いずれにしても太田裕美の歌を聴く人は、圧倒的に男性が多い訳なので問題は無かったと思います。

しかし、こんなに可愛い人を悲しませて別れる男は何なんだという気持ちが沸き起こります。
彼女がかわいそうで、聞いていると同情心でこちらまでせつない気持ちになってしまう歌です。

青春のしおり

作曲は筒美京平ではなくて佐藤 健(さとう けん)です。佐藤 健の奥さんは大橋純子で、彼はたくさんの歌謡曲を作曲しています。
この曲も美しいバラードに仕上がっています。

松本隆的な言葉
・キスがちっとも甘くないこと 気付いてからの味気ない日々
・CSNYなど聞きだしてから あなたは人が変わったようね
・髪をのばして授業をさぼり 自由に生きてみたいと言った
・ウインドウ越しに元町で見た 背のびをしてた自分の影を 歩道の上に見つけて泣いた
・若い季節のかわり目だから 誰も心の風邪をひくのね
・童話の本を閉じてしまえば 全てまぼろし味気ない日々

付き合っていた彼が、彼を取り巻くいろいろな刺激に影響されて変わってしまい、主人公の彼女の元から離れていってしまいました。
モノを客観的に見ることを覚えた彼女は、彼が心の風邪をひいてしまったことを理解するのです。
彼女が移り変わっていく様々なことを、味気ないと感じしまう人になってしまったことは残念です。
しかし、それは彼にとっても、彼女にとっても青春時代の通り道だと思います。

刺激に影響されて自分の考え方を変えていくことは成長です。それを近くにいる人が理解することも成長だと思います。青春時代ならば自分の成長過程で自分をわかってくれている人を、無意識に傷つけてしまうことはありえることだと思います。そして、恋人同士ならば別れてしまうこともあるのではないかと思います。この曲はその様な話です。

この当時の大学生の生活スタイルを考えると、この歌のようなことは日常的によくあったと思います。そう考えると、この歌に共感する人はかなりいたのではないでしょうか。
CSNYは当時のアメリカの人気バンド名です。
元町という歌詞が出てきますが、この頃の元町はどんな感じだったのかと思います。
歌詞全体に、70年代の何とも言えない空気感が、とてもよく出ているなと感じます。

青春時代の恋愛はまぶしく輝いた後、この様に哀しくなっていくこともやっぱり多いと思います。

このアルバムには他に「かなしみ葉書」「THE MILKY WAY EXPRESS」「七つの願いごと」
「ひぐらし」「水車」「わかれ道」という曲が収録されています。

このアルバムには、この他にあと7曲が収録されています

敬称は略しました

お問い合わせフォーム