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海が泣いている
「海が泣いている」太田裕美

松本隆さんの作詞です。男性目線の歌で、学生時代の友達だった女の子のことを書いています。本当はずっと好きだったのに、あと一歩が踏み出せなくて結局友達のままで卒業して久しぶり会った時の会話が詞の内容です。松本隆さんが得意のとっても甘づっぱい青春の話です。

2番の歌詞が特にいいので書き出したいと思います。
「化粧を変えても すれ違う瞬間(とき) 不思議に一目で君とわかった
お茶でもどうって 誘う言葉に うなづく仕草は昔の君
結婚するって うわさ聞いたよ 相手がやさしい人ならいいさ
おんなは名前を何故変えるのか この次逢ったら 何て呼ぼうか
愛って何? 若さって何? 小首かしげて君は聞くけど
答えがないから青春だった
時って でっかい河みたいだよ 思い出はなつかしい友だちなんだね」

特に「結婚するって うわさ聞いたよ 相手がやさしい人ならいいさ」
は女性に想いを伝えそびれた主人公の、後悔と少しの強がりがにじみ出ていてとても繊細だと思います。
化粧を変えても一目でわかるほどに通じるものが、学生時代の二人にあったことがかえって哀しいです。

こういう歌を太田裕美さんという女性が唄うことで、なぜかドラマ性が膨らむのが不思議です。この歌を男性歌手が唄うと温度感が変わってしまって心に響いてこないかもしれないと思います。

このアルバムは1970年代の後半に出たものですが、今でも大学のキャンパスにはこういう二人が、本当の心を隠しながら肩を並べて歩いていると思います。それも青春の1ページで、時間がたてばほろ苦く懐かしい思い出になることでしょう。
そして、男女間にも友情があることをうれしく思うでしょう。