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川本三郎著(キネマ旬報社)

この本には約240本の映画と、その画面に登場した鉄道が紹介されています。
男はつらいよ」シリーズは日本中の鉄道風景が映画の中で登場したので、随所に登場します。
また、昭和時代の映画は作られた本数が多いので、語られる話も多いです。
日本映画と鉄道が好きな人には良書だと思いました。
この本を読んで気になった映画を、レンタルビデオやネットフリックスなどで見てみましたので、その感想をここに書きたいと思います。

「おもひでぽろぽろ」(1991年・ジブリ映画)

アニメですが、寝台特急「あけぼの」が登場し、この映画が作られた1990年頃の山形駅や山形市街が味わい深く描かれていました。あの時代の質感がよく出ていて、そこが良かったです。
エンディングでは仙山線の高瀬駅と隣の山寺駅が出てきますが、高瀬駅のローカル線らしさと、上下線の列車がホームに並ぶ山寺駅のちょっとした賑わいがとてもリアルに感じられました。
主人公の女性が子供時代を回想する場面では、昭和40年代の東京の商店街が登場します。電信柱の町名表示が「練馬2丁目」となっていたので、西武池袋線の沿線にある駅前商店街がモデルかなと思いました。

「砂の器」(1974年・松竹)

この映画はこの本の中で、何回も紹介されています。映画は当時のそうそうたる俳優が出演していて、原作や脚本の完成度の高さもあってやはり名作です。
刑事が捜査で鉄道に乗って地方に移動するので、その当時の鉄道や駅がしっかり画面に出てきます。「かめだ」という地名がキーワードになります。そのため刑事は羽越本線の特急列車か急行列車で移動して、地方の駅らしいたたずまいの羽後亀田駅に到着します。
次は山陰本線宍道駅とそこから出るローカル線の木次線出雲三成駅亀嵩(かめだけ)駅が登場しますが、実際には亀嵩駅の駅舎は二つ先の八川駅を撮影しているそうです。
刑事が乗り換え列車を待つ宍道駅のホームの雰囲気がとてもよかったです。
1974年当時のエアコンのついていない夏の列車内の様子や、地方の古い駅の情緒がとてもよくわかる映画でした。

「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年・松竹)

島根県の一畑電車が舞台の映画です。ローカル線の小さな駅がいくつか出てきて、それがとても風情があります。特に、宍道湖のすぐ前にある駅の風景が素晴らしいです。
エンディングでは遠景から一両編成の電車が田園風景の中を走って行く姿が長く続いていきますが、ローカル線の味わいがとてもよく出ていました。
この映画は、「仕事って何だろう」と終始問いかけてきて、僕も自分のことをいろいろ考えました。
主人公の生き方にとても共感しました。

「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たち」(2011年・松竹)

間もなく定年を迎える、富山地方鉄道の運転士の話です。美しい田園風景を走る列車と、その後ろの雪をいただいた立山連峰の壮観さが素晴らしいです。その画面を見ただけで、富山地方鉄道に乗りに行きたくなります。
かつて西武鉄道で活躍していたレッドアローや、京阪電鉄の特急車両も何回も登場します。
また、富山駅岩瀬浜駅の間を走る富山ライトレールや、路面電車富山市内電車も途中で映し出されていました。
この映画では、ストーリーに寄り添った富山らしい沿線風景がとても味わい深く描かれていますが、特に小さな駅の情緒が絶妙だと思いました。(これは前作「49歳で電車の運転士~」と同じです)

話が横にそれますが、酒井順子さんが「路面電車の走る城下町が好き」と書いていたと思います。路面電車と城下町の落ち着いた風情が好きなのだなと思います。僕は、城下町富山を走る路面電車に乗ったことがありますが、とても気持ちのいい電車でした。記憶なのであいまいですが、富山城のすぐ横を走ったような気がします。
北陸地方は福井市、高岡市、富山市と主な城下町に路面電車が走っています。金沢市にないのが残念です。金沢駅から兼六園へ向かう路面電車がお城の横を走っていたら、映画やドラマで頻繫に使われそうに思います。

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